ダイアル式電話

 職員室の入り口に、ピンクの公衆電話が置いてあります。もう使えませんが、かつては実際に使っておりました。使用しなくなればNTTが回収するのがルールですが、実は隠れた使用法がありまして、そのまま残してもらいました。
 4月。新入園児が入園しますと、どうしても泣いて帰りたがる子がいまして、そうすると先生はその子を抱っこして職員室まで来て、「じゃあ、今からお母さんに、急いでお迎えに来てねって電話するね」と言い、電話をかけるまねをし、「もしもし。○○くんのお母さんですか? ○○くん急いで迎えに来てくださいね」と言って、切ります。実際にはかけていないのですが、それで少しは泣いている子の気も晴れまして、泣きやんでくれるという寸法です。
 ところがもうこのダイアル式の電話は、今の子どもたちにはわからないんですね。プッシュ式でないと…。時代はかわったよなぁ、と思ったら、もう先生の中にもダイアル式の電話なんか知らない、という人もいまして、さらにさらに時代はかわったよなぁと…。平成も終わり、昭和はますます遠くなりますね。